理事長あいさつ

理事長 山本哲也 日本緑内障学会理事長の山本哲也(所属:岐阜大学眼科)でございます。理事長就任後約2年が経過致しました。日本緑内障学会の概要と活動内容を紹介するとともに、今後に向けての抱負を述べさせていただきたいと思います。

 日本緑内障学会の大きな目標は日本の緑内障研究の推進です。また、研究活動を通じて緑内障の本態解明、治療効果の改善を図ることです。そして患者様の視機能改善により国民福祉に貢献することです。日本緑内障学会は研究発表の場である年次学術集会の開催を大きな事業と考えております。加えて、大学・研究機関横断的な共同研究プロジェクトをいくつか立ち上げ、学会主導での研究を行ってきました。日本における緑内障疫学研究として国際的に有名な多治見スタディや久米島スタディは学会主導研究の代表であります。現在はこうした研究活動は学会内に設置したデータ解析委員会ほかの委員会が管掌し、Lower Normal Pressure Glaucoma 研究(注:眼圧の特に低い緑内障に関する研究)、後期緑内障研究、インプラント手術研究、緑内障関連遺伝子研究、緑内障血流研究などを実施しております。また、若手研究者の育成も重要と考えており、海外学会での研究発表への補助事業であるフェローシップグラント制度も導入しております。この1年間では、世界緑内障学会(World Glaucoma Congress、2015年6月、香港)に6名の助成を行いました。

 日本緑内障学会は1990年(平成2年)に設立されました。本年(2016年)9月に第27回の年次学術集会(庄司信行学会長)を横浜市内で予定している歴史のある学会です。歴代理事長は、三島済一先生、北澤克明先生、新家眞先生と著名な眼科、特に緑内障分野の研究者が務めていらっしゃいます。日本緑内障学会の前身は、緑内障研究者有志が1970年(昭和45年)に創設した日本緑内障研究会と、日本臨床眼科学会の中で1961年(昭和36年)から実施されてきた緑内障グループディスカッションです。この二つの会はともに当初はごく少数の研究者のみの参加であったとのことですが、その後緑内障が眼科医の関心を呼び、両組織が発展的に解消する形で日本緑内障学会が設立されました。1990年の第1回学術集会(大阪)での一般演題数は69題、参加者は568名と記録されています。それが、緑内障への関心がますます高まっていることを反映して、一昨年の第25回(2014年9月、大阪、松本長太学会長)では一般演題数172題、参加者1,650名、昨年の第26回(2015年9月、名古屋、岩瀬愛子学会長)では一般演題数174題、参加者1,684名、と大幅な増加を認めています。このように日本緑内障学会は眼科関連のサブスペシャリティ学会の中でも1-2を争う大きな学会に成長しております。

 国内の緑内障診療のレベルを高めることは学会として重要なことと考えております。この目的で眼科医を対象とした緑内障診療ガイドラインを作成し、緑内障診療時の基本指針を呈示してまいりました。ガイドラインは診療の進歩に伴い常にアップデートされる必要がありますので、2012年に第3版を刊行いたしましたが、現在第4版の作成に向けて改訂作業を行っております。

 一般国民に対する緑内障の啓発活動は緑内障の早期発見、予後改善のために重要です。緑内障の治療は近年大きく進歩しておりますので、早期からきちんとした管理が行われた場合の予後は大幅に改善しています。ところが、初期には自覚症状に乏しいという緑内障の特徴がありますので、治療成績向上のためには自覚症状の出る前に発見するための検診等が大切になってまいります。緑内障の啓発活動は国際的にも協力して行われています。重要な国際行事として世界緑内障週間(World Glaucoma Week)が毎年3月上旬に設定され、各国で諸活動がなされています。日本緑内障学会は従来から世界緑内障週間に合わせて東京、多治見、大阪で講演会などを行ってきました。今年(2016年)は講演活動に加えて、ライトアップinグリーン運動と名付けて全国20都市でテレビ塔、城、市庁舎などのランドマークをグリーンに点灯する活動を行いました。マスコミにも取り上げられるなど、一定の成果を得たものと考えておりますので、来年以降も続行する予定です。今後ともこうした国民に対する啓発活動を日本緑内障学会として進めてまいります。

 世界には緑内障研究を主目的とする学術団体がいくつか設立されています。日本緑内障学会は研究推進の観点から国際交流を大切なものと考えています。幸いにして我が国の緑内障研究レベルは高いと評価されており、日本緑内障学会の理事を中心とした何名かの先生方が、緑内障研究学会(Glaucoma Research Society)、世界緑内障連合(World Glaucoma Association)、アジア太平洋緑内障学会(Asia-Pacific Glaucoma Society)、等の国際的に主要な学会組織に役員として参加しています。こうした諸学会とも連帯して緑内障研究を推進してまいりたいと思います。


 私は緑内障研究と患者様のために今後とも努力を重ねてまいる所存です。学会会員の皆様のご支援を引き続きよろしくお願い申し上げます。

 

2016年(平成28年)4月吉日
岐阜大学大学院医学系研究科眼科学  山本 哲也